もし、ディズニー映画のセットに迷い込むことなく、本物の魔法の世界に足を踏み入れたいなら、愛知県岡崎市の「鳥川ホタルまつり」がぴったりです。毎年初夏、6月の初めの数週間、静かな川沿いの町が、たった小さな光る虫たちによって、最高にロマンチックな夜の絶景に変わります。
鳥川は、派手な町ではありません。巨大なネオンサインも、大型ショッピングモールもありません。ここにあるのは、もっと貴重なもの。きれいで穏やかな川と自然。その静けさと清らかさに、源氏ボタルたちが「ここだ!」と集まってくるのです。湿気がじわっと上がり、ちょうどいいタイミングで日が沈むと、草むらや木々から無数の小さな光がふわっと舞い上がります。
現地に向かう道のりも、ちょっとした冒険です。名古屋のきらびやかな街を離れ、田んぼや小さな町を抜け、だんだんと稲の香りと土の温もりに包まれる世界へ。やがて細い道沿いに提灯が並び、浴衣姿の人たちがのんびり川辺へ向かって歩いているのが見えてきます。
祭り自体は、とても素朴で温かい雰囲気です。巨大なステージも、大音量のコンサートも、ド派手な花火もありません。その代わりに、焼きとうもろこしや焼きそば、山のように盛られたかき氷を売る屋台が並びます。子どもたちは虫取り網を振り回して走り回り、おばあちゃんたちは折りたたみ椅子に座って、手作りの漬物や「暑くなるからこれ持っていきなさい」と紙のうちわを配っています。
そして、日が沈み、本当の魔法が始まります。
最初は、草むらの近くで一つ、ポツンと光るだけ。でもすぐに、もう一つ、また一つと増えていき、気づけば川沿い一面に、無数の小さな緑色の光がふわふわと漂い始めます。光たちは、あくびをしているかのようなゆっくりしたリズムで、優雅に点滅します。焦って見るものではありません。ただ立ち止まり、蚊に刺されながらも、夢中で見入ってしまいます。
そして面白いことに、みんな静かに見守るのです。騒いでいた子どもたちも、焼き鳥を落としたおじさんも、いつの間にか黙っています。ホタルたちが町全体にそっと魔法をかけたかのようです。もちろんスマホを取り出す人もいますが、あの幻想的な雰囲気は写真では絶対に伝えきれません。
ちなみに、ホタルを捕まえるのは禁止です。彼らは一年間、静かに暮らしながら、このわずか二週間ほどのために全力で輝いているのです。そっと見守りましょう。
鳥川の素敵なところは、観光地化されすぎていないところ。訪れるのは、地元の家族連れや、友人同士、都会の喧騒を逃れたい人たち。屋台のおじさんと世間話をしたり、どこが一番ホタルが多いか教えてもらったり、川の石に腰掛けて、水音に耳を澄ませながらホタルのダンスを見るのも素敵です。
祭りは6月中旬には終わってしまいます。ホタルたちは、最高の瞬間を残して、また静かに姿を消していくのです。だから、見に行きたいなら早めに。虫除けスプレーと折りたたみ椅子を持って、小さな光たちに心を奪われる準備をしておきましょう。
なぜなら、日本で最高のショーは、舞台の上ではなく、川の上で、小さな光がそっと輝く中で始まるからです。