ドーナツ屋はたくさんある。しかし、渋谷にある「I’m Donut」は、ふわふわ中毒者たちの戦場と化している、とんでもないベーカリーだ。
渋谷のスクランブル交差点から数分歩いた場所にある「I’m Donut」は、外見は控えめ。しかし中に入った瞬間、あなたの理性は吹き飛ぶ。バターと生地の焼ける香ばしい匂いが空気中に漂い、あなたは「今日は一個だけ」と心に誓う。だが、それは今日最初につく小さな嘘にすぎない。
「I’m Donut」の魔法は、「生ドーナツ」にある。日本語で「生」は「新鮮」や「できたて」という意味だが、このドーナツの柔らかさは異常レベルだ。まるで誰かが雲を焼いて、優しくハグして、妖精の粉をふりかけたみたいな感じだ。本当に。指で押すとぷにぷに跳ね返る。もはや執念を感じる。
味のラインナップもとんでもない。シュガーやチョコレートなど王道もあれば、抹茶味で上品に攻めることもできるし、ピーナツバター&ジャムで童心に帰ることもできる。さらに、ベーコンを巻いたドーナツまであり、「人生は一度きりだぞ」と語りかけてくる。カボチャ味も驚くほどうまい。野菜ってこんなに美味しかったっけ、と思わずにはいられない。
注文は、軽い格闘技だ。正午を過ぎると、行列はブロックを越える。スーツ姿のサラリーマン、観光客、巨大な買い物袋を持った小柄なおばあちゃん。みんな一つの夢、つまりあの黄金の宝物を手に入れるために並んでいる。
やっとカウンターにたどり着くと、スタッフが超高速でメニューを説明してくる。焦ったあなたは思わず「全部ください」と言ってしまう。後悔はない。
一口食べた瞬間、なぜこの店が半ば聖地扱いされているのか悟る。ふわふわ、もちもち、そして甘さ控えめ。それなのにしっかりと満足感がある。思わず「うまっ」と変な声が漏れる。周囲に誰がいようと関係ない。これはもう宗教だ。
眩しい東京の太陽の下にドーナツを両腕いっぱい抱えて出てきたあなたは、確信する。絶対にまた来る。そして、交差点にたどり着く前に3個は食べることになるだろう。
「I’m Donut」では、抗うことはただの愚行だ。