落語って聞いたことない?大丈夫、寿司の一種でもなければ、ジブリの妖怪キャラでもありません。落語は日本の伝統的なコメディ。もしスタンドアップコメディが、ずっと正座してキモノを着て、扇子と手ぬぐいだけで全力演技するものだったら、それが落語です。
落語家は座布団の上に正座して、1人で長〜い話を語ります。しかもその中に登場する全キャラを1人で演じるという職人芸。登場人物が5人いようが、恋愛シーンだろうが、全部1人でやっちゃいます。もはや1人ミュージカル。想像上の友達と本気でケンカしたり、プロポーズしたりする姿に、観客は笑いながらも「これって何を観てるんだ…?」という混乱も味わえます。
そんな落語を、英語で楽しめる唯一の場所が東京・池袋にある「サンシャイン落語」。これはもう奇跡というしかありません。主役は「桂三輝(かつら・サンシャイン)」さん。え?名前がサンシャイン?ふざけてるようですが、これは正式な落語家名。カナダ出身の彼は日本の落語に惚れ込みすぎて来日、師匠に弟子入りし、厳しい修業を経て西洋人初のプロ落語家になった男です。
桂サンシャインの落語は、ただ英語に訳しただけじゃありません。300年前の話を、現代のユーモアとテンションでアップデート。彼の表情、声の切り替え、そして「自分でも何やってるのか分からない」感がたまりません。一人でお婆ちゃん、武士、酔っ払いなどを演じる姿はシュールすぎて笑いが止まりません。
物語の内容は、結婚の失敗、勘違い、社会的な大惨事など、どれも普遍的で思わず「分かる〜」とつぶやきたくなるものばかり。観客は外国人も多く、ちょっとしたカルチャー体験のつもりで来た人たちが、まさかの爆笑で涙を流すという展開が定番です。
さらに嬉しいのは、サンシャインが落語とは何か、なぜ正座しているのか、どうして扇子だけで蕎麦を食べるマネをするのか、全部解説してくれること。笑って、学べて、膝がしびれる。そんなショーです。
ちなみに公演は回数も座席数も限られているので、すぐに売り切れます。だって「キモノ姿のカナダ人が江戸時代の話を英語で語る」って聞いたら、そりゃ誰でも気になるでしょ。ロボットレストランより断然オススメです。
というわけで、東京で一風変わった夜を過ごしたいなら、サンシャイン落語へどうぞ。笑いすぎてお腹が痛くなるし、たぶん太ももも痛くなります。だけど、それすら愛おしく感じるのがこのショーの魔法。
落語で笑え。サンシャインで学べ。そして、また来たくなること間違いなし。