もしご先祖様を送り出すために街の山々に火をつける伝統行事を、コンビニアイスを食べながら眺めたいなら、京都の五山の送り火はまさにあなたのためにあります。
毎年8月16日の夜、京都では人類史上最もドラマチックな送り出しイベントが開催されます。それが五山の送り火。直訳すると「五つの山の送り火」ですが、個人的には「スピリチュアル大脱出ファイヤーショー」と呼びたいくらいです。
この行事はお盆の終わりを意味します。日本ではお盆の間、ご先祖様がこの世に帰ってきて家族と再会すると信じられています。ほっこり家族団らん…と思いきや、京都では「じゃ、そろそろ帰ってね!」とばかりに山に巨大な火を灯して霊たちをあの世へ送り出すのです。控えめさ?そんなものありません。
一番有名なのは、東山の大文字山に浮かび上がる巨大な「大」の字。この「大」のスケールたるや、たぶん宇宙人でも見えるレベル。気合が違います。
他にも、もう一つの「大」、船の形、妙法(みょうほう)という文字、鳥居の形と、合計五つの送り火が山々に灯ります。一晩ですべてを見られたら、もはや京都送り火ビンゴ達成です。
準備も本気です。何週間も前からボランティアたちが山に登り、薪や松葉をきれいに並べます。巨大バーベキューの準備みたいですが、焼くのはホットドッグではなく、霊たちの思い出です。当日はお坊さんたちと地域の人々が山に登り、ぴったりのタイミングで点火します。そして市内の人々は空を見上げ、「おお〜!」と感嘆するのです。
観覧スタイルは意外とゆるいです。みんな鴨川沿いにレジャーシートを敷き、ビールやかき氷を片手に送り火を眺めます。子供たちは光るスティックを振り回し、おじいちゃんおばあちゃんは満足げにうなずき、観光客たちは必死に4000枚くらい写真を撮ります。
普通こんなに大きな火を都市の近くで焚いたらパニックになりそうですが、さすが京都。何百年もやってきたので完璧に管理されています。消防士もスタンバイ。観光客の無謀な山登りもやんわり止められます。なお、アイスクリームの売り上げは急上昇します。
送り火は意外と短時間で終了します。それぞれの火は30分ほど燃え続け、だんだん静かに消えていきます。火が消えると、霊たちは無事にあの世へ帰っていくのです。ちなみに、送り火の炭で沸かしたお湯を飲むと無病息災になると言われていますが、現代ではさすがにシンボル的な意味合いになっています。山に登って鍋を持参するのはやめましょう。京都市民が泣きます。
もし運良くこの時期に京都にいるなら、ぜひ体験してみてください。伝統と夏のリラックスムードが絶妙にミックスされた夜です。美しくて、不思議で、ちょっと煙たくて、一生忘れられない光景になるでしょう。
8月16日何してる?と聞かれたら、答えは一択。
「ご先祖様を見送るために、世界一オシャレな送り火パーティーに行ってくるよ」