六本木ヒルズの森美術館でエレベーターを降りた瞬間、あなたはただの展覧会に来たわけではありません。ここはゴジラの縄張り、そして彼は全く反省していません。
「ゴジラアート展」は、東京が世界に誇る怪獣へのラブレターです。圧倒されるほどの迫力と、ほんの少しの恐怖が入り混じったこの展示は、東京がどれだけ近代化しても、いつ巨大トカゲに踏み潰されてもおかしくない街だという事実を思い出させてくれます。そして私たちはきっと、礼儀正しく列に並んで写真を撮るでしょう。
会場に一歩足を踏み入れると、怪獣たちの歴史がぎっしり詰まった秘密基地に迷い込んだ気分になります。1954年の白黒映画から、現代の光り輝くCGIモンスターまで、様々なゴジラがあなたを見下ろしています。準備万端だと思っていても、鋭い歯をむき出しにした高さ3メートルのゴジラの顔と目が合った瞬間、あなたの膝は正直に震えるでしょう。
オリジナルの映画ポスターやコンセプトアート、汗だくになりながらダンボールの街を壊していた頃のゴム製スーツも展示されています。一部は手作り感満載で、「お父さんが車庫で作ったのかな」と思わず笑ってしまうかもしれません。でもリアルすぎるものもあって、思わず非常口を探してしまうでしょう。
もちろん、ここは日本。ゴジラの進化が政治的、環境的メタファーであることを解説する知的なコーナーもきちんと用意されています。ちょっと賢くなった気分を味わいたい人にも安心です。
怖くて笑える要素のひとつは、会場全体に響く音響効果です。遠くから聞こえる唸り声や、突然響くあのゴジラ独特の叫び声。小さくて「空耳かな?」と思うこともあれば、突然大音量で鳴り響き、クールを装っていた大人たちがビクッとなる瞬間もあります。
展覧会の最後にはもちろん、ゴジラグッズ満載のショップが待っています。これほど完璧に恐怖を味わったあとに、トートバッグや観葉植物を破壊しそうなフィギュアを買うしかありません。
子供たちは大興奮で走り回り、大人たちは平静を装いながらこっそり自撮りをします。巨大なゴジラの尻尾の下で撮った真顔のセルフィーは、もはや現代のヒーローの証拠写真です。
クライマックスは、名場面を流し続ける巨大スクリーン。高層ビルが倒れ、戦車が突撃し、人々が悲鳴を上げながら逃げまどい、ゴジラは大満足で吠えます。あなたは静かにパンフレットを握りしめながら、破壊される東京がなぜこんなにも面白いのか不思議に思うでしょう。
「ゴジラアート展」は、歴史へのオマージュであり、ファンのためのノスタルジーであり、心臓に良いスリル満点のエクササイズでもあります。ゴジラは破壊者でありながら、どこか愛される存在。怖いのに、なぜか安心感すら与えてくれる。不思議な魔法にかかったような展覧会です。
もし六本木に行く機会があるなら、友達と一緒にぜひ。カメラを持って、できればヘルメットも。だって、次に博物館の壁を揺らす咆哮がいつ来るかわからないのですから。